吹替版メインキャスト ロングインタビュー

「逆奏のカノン」日本語吹替版 イェノ役:犬丸義貴さん・ソフィー役:岩元絵美さん・デイヴィッド役:北口聖さん


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写真右から 北口聖さん(俳協所属)、犬丸義貴さん(アルディ所属)、岩元絵美さん(E-sprinG所属)


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インタビュー後編 重なる情熱、物語と役作りの境界に向けて

(インタビュー前編「混迷の戦前を描くロマンス映画への挑戦」から続く)

── 最も難しかったシーンを教えてください。

犬丸:いっぱいあるんですけど…

岩元:私は、ピアノを弾きながらイェノに過去を語るシーンでした。
驚くような出会いだったイェノとの心の距離が、ここからぐっと近づいていくんですけれど、まだ出会ったばかりの彼の前で急に過去の話を始める、これはどういう心境なのかなと。
またその話自体が、窓の閉ざされた家の思い出という…決して気持ちが上向きになるような内容ではないのに、ソフィーの表情を見ると、意外と口角が上がっているんです。だからそのバランスが難しくて。何だかちょっとのさじ加減で、伝わるかな、どうかな…みたいな、すごく繊細なシーンでした。

犬丸:僕はやはり一番は、最終選考後のデイヴィッドとのシーンでした。
心の底から傷ついているデイヴィッドに、どうしたらイェノの思いを伝えられるのか…というか、イェノは何をどう伝えたいのか、どんなに考えてもうまく噛み砕けなくて、苦労しました。

── 傷ついている彼を一人にしておけなかったのに、いざ向き合ったら…というシーンでした。

犬丸:最後はとにかくデイヴィッドに対してのイェノの気持ちを、何とか素直に表現したつもりです。

北口:実は僕も犬丸くんと同じシーンなんですよね。ソリストを決めるシーンです。
それまで親友だと思っていたイェノや、尊敬する父の裏切りを知り、誰よりも味方だったはずの母親ですら自分に真実を隠していたということに深く傷ついて…彼に残されたのはもうヴァイオリンの才能だけだったのに、それすらも彼を救ってはくれない。
絶望にとことん打ちのめされるデイヴィッドの心の動きと、イェノに激しく傷つく言葉を投げつけてしまう行動、そしてイェノの反応に、更にデイヴィッド自身が傷ついていくくだり。デイヴィッドの気持ちは痛いほど分かるけど、ここを表現するのはとても苦しくて難しかったです。

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── では、最も心に残ったシーンは?

犬丸:終盤のソフィーとの演奏会のシーンが一番印象に残っています。
劇中で何度もイェノやソフィー、デイヴィッドが弾いていた協奏曲のシーンなんですが、何だかそれまでの物語を総ざらいしてる感じが凄くあって…さらに苦しい別れ方をしたデイヴィッドが駆けつけてくれるんです。さっきも岩元さんがお話しされたように、気付いたイェノがすごく嬉しそうに笑うんですよね。何度見ても、「ああ良かったねイェノ!」ってジーンとします。
この直後に悲劇的なことが起きるんですけど、ここの一瞬だけは、本当に満ち足りてたなって思います。で、イェノの笑顔に気づいたソフィーも一緒に微笑んでくれるんですけども、収録でも岩元さんと一緒に笑いあえて、何だか涙がこみ上げてきそうでした。

岩元:私は、ナチスの手がプラハにまで伸びてきて亡命しなければいけなくなって、荷造りをしているところにイェノが来るシーンが忘れられません。
全てを投げ出して逃げないといけない、でも荷物も気持ちも整理できない、そんな混乱の渦中にイェノが現れて引きとめられて。もうどうすればいいんだろう…って葛藤するところから、一旦は別れることを決意するんですけど、ここが凄く切なくて苦しくて。
この気持ちはどう演じたら伝わるだろうって自問も含めて、凄い印象に残っています。

北口:僕は、音楽院での…イェノたちとの即興演奏のシーンが一番心に残りました。
デイヴィッドが弾き始めた陽気なメロディーにイェノが絡んで、仲間たちも次々に参加して、どんどん音が重なり合って、大きなセッションになっていく。心から音楽を楽しんでいる若者たちの瑞々しい青春の場面が、映画の終盤にも幻として描かれるんです。
思うに、もうこの時間は失われていて、残念ながら戻らない。けど、音楽が色んな時間、時代を超えてずっとずっと紡がれていくように、幻を見た人や、後のデイヴィッドを通して、視聴者の心に紡がれていくんだなって。
僕はそんなふうに解釈して、すごくキラキラして儚いこのシーンが一番深く心に残っています。

── 本当に美しいシーンでしたね。

北口:いや、本当に…ラストシーンで"We are making love!"「音楽は愛だ!」ってデイヴィッドが叫ぶんですが、その台詞もやっぱり胸に響くものがあって。
若者たちのどんちゃん騒ぎの中での台詞と、幻の中での台詞とで、全くこんなにも訴えてくる心情が違うんだというところが、この映画の素晴らしさだと思いました。



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── 他に印象に残ったキャラクターはいますか?

犬丸:ヴァイゲル先生です。イェノの音楽を認めなかったり、イェノの出自を蔑んだりと、どちらかといえば嫌な感じの憎まれ役ではあるんですけど、非常に癖があって面白くて。
イェノをとっちめる時なんか、イェノ役としては「なにくそっ」って思うんですけど、一方で「いや、反骨心を煽ってくれてありがとうっ」みたいなところもあって、結構好きなキャラクターでした。

岩元:私は、イェノの育ての父親のウルフがとても素敵で…ファンになるぐらい好きです(笑)。実の父親じゃないんですけども、イェノのことを本当に大切にしていて。で、それをちゃんと言葉にして伝えてくれるところが、すごく格好いいお父さんだなって思います。
特に、イェノがソフィーに「僕の父だ」って紹介した時の、彼の心から嬉しそうな表情に胸が熱くなりました。

北口:奇しくもですね

犬丸:奇しくも!?

北口:僕もウルフが…

岩元:やっぱり人気なんですね(笑)。

北口:この物語の中で、最も愛情深くて器の大きい人物だと思っています。
イェノの母と連れ子のイェノを受け入れて、その上でイェノの生き方を手放しで応援してくれる。精肉工場を営んでいる彼なら、この時代の現実の厳しさを誰よりも知って苦労している筈なのに、「お前は俺の自慢だ」とまっすぐイェノに伝えられるウルフって、本当に格好良くて。同じ男としても人としても手本にしたい、憧れるなって思います。
彼の愛があったからこそ、イェノは最後まで自分を信じて突っ走ることが…ソフィーとの愛も貫くことができたんじゃないかと思っています。



── 今後はどのようなキャラクターに挑戦したいですか?

犬丸:印象に残ったキャラクターでヴァイゲル先生を挙げたんですけども、ああいうクセの強い悪役にも挑戦したいです。
今回は特に、真っ直ぐで純粋な青年の役だったので。他人を巻き込むし迷惑を掛けたりもするけれど、本当に真っ直ぐな青年に挑戦できたので、いずれは真逆の立ち位置のキャラクターを演じられたらいいなと思っています。

岩元:私は正直、いただけるのなら本当に何でも、っていう気持ちはありつつ…強いて挙げるなら大人の女性でしょうか。
仕事をバリバリこなすビジネスウーマンや艶やかな色気のある女性を演じてみたいです。
私も一瞬「悪い女性」とか言おうかと思ったんですけど、そこに行き着くためには、まずそうじゃない大人の女性を演じられる力をつけてからと。いずれは辿り着きたいと思います。

北口:僕もさまざまな年齢の、幅のある役を演じたいのはもちろんなんですが、特に思い浮かんだのはロボットやAIなどです。ちょっと無機質な役柄にも挑戦してみたい気持ちがあります。
逆に感情豊かなキャラクターは分かりやすくもあるので、無機質だからこその難しさを表現できるようになれたらと思っています。


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── では最後に、まだ作品を観ていない方々に向けてひと言お願いします。

犬丸:第2次世界大戦下を生きる青年たちの愛と友情と音楽の物語。ストーリーとしてはちょっと悲劇かもしれません。最後は切なさを感じるけれど、きっと忘れられない作品になると思います。

北口:今も世界のあちこちで紛争が起きていますが、これはもう、他人事だとか、海の向こうの出来事だとかでは到底片付けられない、とにかく繰り返してはいけないっていうメッセージが本作から伝わってきます。この作品を通じて僕自身、自分にできることは何かないかとか、そういう風に考えるきっかけにもなりました。
クサい言い方ですけどやっぱり、愛が少しでも世界を良くしてくれればっていう思いが、この映画のテーマと重なるんだと思います。

岩元:この作品には、ユダヤ人迫害や戦争という、苦しく重いテーマも描かれています。でもそれだけでなく、恋愛、友情、親子愛、さまざまな愛が溢れています。想いが通じ合う愛もあればすれ違ってしまう愛もありますが、葛藤を乗り越えて思いを届けようとする姿に胸を打たれます。
また、学生たちが大好きな音楽に情熱を注ぐ姿が、とてもキラキラしていて魅力的です。劇中の音楽も本当に素敵で、非常に見どころの多い作品です。正直、私は何回も泣きました。

北口:第2次世界大戦下の厳しい現実の中、愛に生きた人々の姿と素晴らしい音楽が響き合う、この切なくて美しい物語を一人でも多くの方に観ていただけたら幸いです。

3人:ありがとうございました。



逆奏のカノン (2000年 イタリア) 作品データ

■ 監督  リッキー・トニャッツィ
■ 原作  パオロ・マウレンシグ「狂った旋律」
■ 音楽  エンニオ・モリコーネ
■ 出演
 イェノ:ハンス・マシソン
 ソフィー:メラニー・ティエリー
 デイヴィッド:リー・ウィリアムズ


■ ストーリー

1970 年、プラハのオークション会場で古いヴァイオリンを競り落とした老紳士は、一人の女に引き留められる。
「この楽器はある人物が実在した証し」そう切り出した彼女は 2 年前に出会った不思議な男と、遠い記憶を呼び覚ます旋律のことを語り始める。それは第二次世界大戦が近づくヨーロッパでの、ヴァイオリンと音楽を愛する純朴な青年イェノと、美しいユダヤ人の女性ピアニスト、ソフィーとの悲恋の物語だった。
そして老紳士が入手したヴァイオリンをめぐり、家族の因縁、音楽学校での生徒の絆、ナチスドイツの台頭などが複雑に絡み合い、戦後の世界へと続いていく。
イタリア映画音楽の巨匠エンニオ・モリコーネの奏でる旋律が美しく激しく心を揺さぶる。


■ 日本語吹替版キャスト

  • イェノ  犬丸 義貴
  • ソフィー  岩元 絵美
  • デイヴィッド  北口 聖
  • コンスタンツァ  桜井 春香
  • バイオリン弾き  小出 明
  • ブラウ男爵, 老紳士  近衛 頼忠
  • ウルフ  神﨑 龍太
  • イェノの母  紅林 伽奈
  • ブラウ夫人  さきとう 薫
  • カール  吉岡 翔悟
  • ヒシュバウム  森川 直樹
  • ヴァイゲル, 競売人  太田 光駿
  • 幼いイェノ  幸野 央枝
  • レヴィー家秘書  やまち あき
  • エガーマン  松本 章太郎
  • ジミー, ラビ  吉村 伊織
  • フランツ  弦谷 直
  • マレク  唐澤 孝侑
  • サラ  林 あゆり
  • ブラウ家メイド  乙羽 美輝
  • プール係員  青柳 佑
  • レヴィー家運転手  郡司 翔偉
  • 農場の少年  藤坂 早映
  • 花売り  赤堀 実華琉
  • 保養地の少年  岡 ありさ

■ 予告編


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